軽犯罪法・銃刀法とナイフ

ナイフは、銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)・軽犯罪法等で規制されています。

法を遵守し、高い水準で自己管理を行い「健全な趣味」としてのナイフコレクションの為に必要なガイドラインとしてご活用ください。
 
警察官は職務質問で刃物を発見したとき、まずは銃刀法に照らし合わせて違法かどうか判断します。 銃刀法に触れないときは、軽犯罪法に照らし合わせます。

したがって、両方の法律に触れないようにする注意が必要になります。

以下、銃刀法、軽犯罪法の定義を併せて解説致します。

  • カスタムナイフ等の携帯(持ち運び)について
  • 持ち運ぶのに正当な理由とは・持ち運ぶ時の注意点
  • 「刀剣類」とは
  • 所持と携帯の違いについて

平成21年1月5日より銃刀法が改正され、ダガータイプのナイフは所持が禁止されました。

カスタムナイフ等の携帯(持ち運び)について

銃刀法

「何人も業務その他正当な理由による場合を除いては刃体の長さが6センチを超える刃物を携帯してはならない。」
違反は2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。

軽犯罪法

「正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他、人の生命を害し、または人の身体に重大な害を加えるのに 使用されるような器具を隠して携帯していた者」
違反は拘留または科料 。
*刃物の寸法は示されていませんので、たとえ小さなものでも軽犯罪法上ではその対象となります。

「刃物」とは人を殺傷する能力のある片刃または両刃の硬質性の用具を言います。

日常生活でその用途が認められているものであっても 刃長サイズにかかわらず,理由のない持ち運びは全てが規制対象になり得ます。

正当な理由があれば「携帯」してもよいのですが、その場合でも使用しないときは厳重な梱包が必要です。

持ち運ぶのに正当な理由とは(二つの法律が掲げる「正当な理由」)

「通常人の常識で理解できる正しい理由」という意味です。

正当な理由とされる場合の例

  • 買ったナイフを自宅に持ち帰る、修理のためにメーカーや販売店に持っていく
  • 釣やキャンプで使うための往路、復路など
  • ナイフメーカーがナイフを売るためにディラーにナイフを運ぶ
  • 板前さんが店に自分の包丁を持っていく途中

ただし、携帯する場合は現場に着くまでは厳重な梱包が必要です。

充分な注意を払って厳重に梱包してはじめて持ち運びが可能になります。

正当な理由とされない例

  • 護身の為に持ち歩く
  • ミニチュアナイフをファッション感覚で身につけて歩く
  • ナイフショーに客である自分がコレクションナイフを持っていく
  • ナイフ愛好家たちがナイフを持ち寄りナイフを見せ合うために集まる

例えば、小さなミニチュアナイフでもそれが人を傷つける事が可能な形状で有ればネックレスとして、キーホルダーとして、携帯ストラップとして等のようにファッション・アクセサリーだと言って目的なく持ち歩くこともこれに当てはまる可能性があります。

また、正当な理由が有っても充分な梱包をせずナイフケースのままポケットに入れたりバッグに入れて持ち歩く事も違法行為に該当する可能性があります。(車に無造作に積んで走る等)

ナイフを持ち運ぶ場合は、出来るだけ細心の注意を払って厳重に梱包する。可能であれば持ち運ばず、宅配便などを利用して送る等のいっそうの用心をおすすめします。

「刀剣類」とは

銃刀法により「刀剣類」は許可無く所持(所有)も携帯もできません。

許可無く所持する者は3年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。(第13条の4)

銃刀法で定めている「刀剣類」とは以下の物です。

以下に該当しないカスタムナイフ・カッターナイフ・包丁などを自宅などで所持・使用するために持つことに規制は有りません。

ただし、それを持ち運ぶ(携帯)となるとその理由により軽犯罪法が適用になります。

  • ア.刃渡り15cm以上の「刀」
  • イ.刃渡り5.5cm以上の「剣」 (ダガーナイフを含む)
  • ウ.刃渡り15cm以上の「やり」
  • エ.刃渡り15cm以上の「なぎなた」
  • オ.「あいくち」 (短いものでも規制の対象になります。)
  • カ.45度以上に自動的に開刃する装置を有する「飛び出しナイフ」(例外規定あり)

「刀剣類」であるための要件

  • ア.人畜を殺傷する能力があること。
  • イ.形式(形態)が刀剣類であること。
  • ウ.鋼質性であること。(ステンレススチールなどの合金鋼も含みます。)

※銃刀法には明示されていませんが「刀子」「小柄」等も刀剣類に含まれることがあります。

銃刀法改正により刃渡り5.5cm超のダガータイプのナイフの所持が禁止されました。

左右対称の両刃タイプのナイフは「剣」とみなされます。

「所持」と「携帯」

「所持」とは「そのものを自己の支配し得べき状態に置くことを言う。」とされています。

「所持」の態様としては「保管」「携帯」「運搬」などがあります。

単に「所有」するだけでなく、他人のナイフを預かったり、修理のために委託されたナイフを保管する場合も該当します。

またナイフを購入し、あとで所持していることを忘れてしまった場合でも所持となります。

「携帯」とは屋内、屋外を問わず、所持者自身が手に持つかまたは身体に帯びるか、これに近い状態で現に携えていると認められるような場合をいいます。

ただし日常生活を営む自宅ないし居室内での携帯は含みません。運転中の自動車の中にナイフがあれば携帯です。

その他

模造刀剣類

銃刀法22条に「何人も業務その他の正当な理由による場合を除いては模造刀剣類を携帯してはならない」とあります。
 
模造刀剣類とは、金属製であって刀剣類に著しく類似する形態を有するものとなっています。

「著しく類似する形態を有するもの」とは、通常人の注意力をもってしては、本物の刀剣類と区別することができない程度に外観上の類似性があることを言います。

一見して小児玩具とわかるものなどは該当しません。

「刃渡り」と「刃体の長さ」

「刃渡り」とは刀剣類の刃長および穂長の総称で「刃長とは、刀、剣、なぎなた、あいくちおよび飛び出しナイフについての概念で、棟区(刀身の峰部のくぼみにかかる箇所)から切っ先までを直線に測った長さを言います。

穂長とは槍についての概念で、そのけら首(塩首)から穂先までを直線に測った長さをいう」とされます。

「刃体の長さ」は刃物に使われ、その測り方が総理府令で定められています。

「刃物の切っ先(刃体の先端)と柄部における切っ先にもっとも近い点とを結ぶ直線の長さを測ることとする」とされています。

「スケルトンナイフ」や「共柄切出し」の測り方は注意が必要です。

刃体と柄部の区別が明らかでない切出し、日本かみそり、握りはさみなどの刃物は、刃物の両端を結ぶ直線の長さを測り、その長さから8センチを差し引く」とあります。